こんにちは!
「にじいろ南信州」運営の伊藤です。
当サイトにご登録いただいているメンバー様を、運営だよりにてインタビュー形式でご紹介する企画を立ち上げました。
第一弾は、泰阜村にて中小規模事業者様の売上アップサポートを行っているビジネス設計士「Beitass(ベイタス)」の玉井 安行さん。
事業の経緯やにじいろ南信州に期待すること等を伺いました。
—泰阜村で事業をされているということですが、玉井さんは泰阜村出身ですか?それとも移住者ですか?
<玉井さん(以下玉井)>生まれも育ちも泰阜村です。音楽をやっていて、名古屋や東京に4年ほど出ていましたが、東京は息が詰まるというか、水が合わないというか…。生活するのに精いっぱいでとても音楽どころではなかったので、ストレスのない環境で音楽を続けたいと思って泰阜村に戻ってきました。
—展開されている事業内容を教えてください。
<玉井>対象になる方は、地方の従業員100名未満程度の中小規模企業を顧客として、集客、売上アップ支援などを行っています。例えばインスタ始めましょうといった小手先のテクニックではなく、インスタで何を伝えたいのかといった本質のところ、ビジネスコンセプトの壁打ちを得意としています。
—とても大切なところだと思うのですが、それを言語化する事って難しいですよね。
<玉井>そうなんです。すごく伝えづらくて、そこが大事だという事がわからずにビジネスを続けている方が多いんです。なので仕事になりづらいですね。
—御社のHPを拝見すると、最初に「マーケティングの“やり方”ばかり追いかけていませんか」と出てくるので、マーケティングコンサルティング業をされているのかと思ったのですが、サイトを読み込んでいくとそれも違うのかなと思いまして。
<玉井>実は最近、HPを刷新したんです。元々はマーケッターですという立ち位置で集客支援していますとしていたのですが、そうすると求められることがSNSの使い方だったりすぐ成果がでることなんですよ。私が提供したいのはそこではないというところと、本質がわかっていないと「アレに手を出してもダメ、コレに手を出してもダメ」と結局無駄になってしまうなと。そこで、マーケティングの前にやるべきことがありますよ、という形にシフトしました。
—屋号に込められた想いをお聞かせいただけますか。
<玉井>webやITの初心者、ビギナーをアシストしたいという意味が込められています。
Beitass=beginner+IT+assist
人と被らなくて、意味があって、自分の理念や価値観を反映したものにしたかったのです。あと、覚えやすいという点もこだわりました。
—ご経歴、創業のきっかけや経緯を教えてください。
<玉井>県外から戻ってきた後、地元泰阜村の製造業に17年勤務しました。技術職についていたのですが、元々起業思想はありました。そのための準備として会社にいたという経緯があります。やはり音楽がやりたかったので。
—会社を辞めるきっかけはどのタイミングでしたか?
<玉井>自分ができることの需要が世の中に沢山あると気付いたときに、ちょうど泰阜村に光回線が通ったんです。2020年、コロナのタイミングでした。ChatGPTも出てきたりして、家でできるぞ、となったときにそれまで積み上げてきたものがバッチリはまったという感じです。
—製造業の技術職と、今ベイタスさんでやられている内容はかけ離れていると思うのですが、どのようにして学ばれてきたんですか?
<玉井>モノ作りと、webやマーケティング支援はかなり畑が違うので、会社の中で学んでいたというところでは会社のHPを作っていたという点があります。あと、音楽のブログをたくさん書いていたので、SEOに関してはかなり学んでいました。結局音楽がベースなんですよ、自分の音楽を構築していく過程でマーケティングなどのスキルを細分化して必要なものを取り入れていきました。
—自立してご家族を養っていく位の収入を見込めるようになったのが前の会社を退職されるちょっと前だと思うのですが、ベイタスさんのHPを拝見すると、見積が有料ですよね。かなり集客のハードルが上がると思うのですが、顧客は来るものですか?
<玉井>これはもう完全にフィルターになってて、それでも良いという人しか来ないので、フワッとした人は来ないというのが自分にとってのメリットになっています。実はちょっと前まで無料だったんですよ。それでも問い合わせは全然来ませんでした。個人がやっているマーケティング支援等のサイトは検索されないので。逆に有料にしてから問い合わせが来るようになりました。本当に支援をお願いしたいという本気の人しか来ないですね。
—主にどんなお客様(業種・地域)を対象にしていますか?
<玉井>製造業が多いです。他には林業とか。ただ、業種というよりは、困りごとに私の得意なことがマッチしているかどうかなので。地域は愛知、兵庫、岩手、埼玉、石川、高知、東京など。中小企業専門のビジネスマッチングサイトがあって、自分から仕事を取りにいっています。実は地元の方が圧倒的に少ないので、にじいろ南信州に登録しようと思いました。

—それでは、もう少し踏み込んだところをお聞きしていきます。集客支援サービスはどのようなサポートを行っていますか?
<玉井>まず、ビジネスコンセプトをしっかり言語化しましょうというところが一番です。これがSNSや広告など全てに関わるビジネスの根っこですね。この根っこはほとんどの事業者さんは持っているんですけど言語化できていないんですよ。もしくは自分なりの言語化はできていても伝わる言葉になっていないとか。そこを構造的に整えるという支援を行っています。
—そこからお客さんが見えてくる視野とはどんなものになりますか?
<玉井>言葉にするのが苦手な方がすごく多いんです。なので、ヒアリング、とにかく壁打ちを行います。これってこういうことですか?と問い、それに対する答えをもらう。企業理念とかはあるけれどもお飾りになっているといったところから脱却して、そもそも何のために事業をやっているのかを見ていきます。価値観がベースになっていない事業はとても危ういので。お金儲けに寄ってしまったり。そうならないために濃密なヒアリングを行っていきます。これは苦しいプロセスなんですよ。自分の表面だけの言葉ではなく先の先まで探っていくので嫌われるセッションでもあります。もっと簡単にお金になること(戦術)を教えてくれといわれるんですけれども、私は戦略がなければ戦術も活きないとお伝えしています。
—そのようなサービスを提供している企業ってあまり無いですよね。
<玉井>そうですね。「問い」を設計するのってとても難しいんですよ。
—仕組み構築サービスはどのようなサポートを行っていますか?
<玉井>市場調査をせずにいきなり売り出す方が結構いらっしゃるので、届けたい価値が市場に需要があるのかをテストしましょうということで、テストマーケティングしてみませんか等を提案しています。Webだったら、広告出せば数字ですぐにわかることなので。とにかく想いだけでは危ないんですとお伝えしています。
—セールスコピー等も書かれるんですか?
<玉井>セールスライティングについては常に勉強し続けています。日本トップレベルのマーケティング出版社の講座を受けています。
—デザイン作成サービスもされているそうですが?
<玉井>製作委託チームがいます。あとは妻がデザイナーなので。案件を自分がとってきて、ガンガン作ってもらってます。
—ベイタスのロゴデザイン、素敵ですがそれも奥様ですか?
<玉井>はい、そうです。
—お客様から特に喜ばれた印象的な事例を教えてください。
<玉井>林業の採用のためにHPを作りたいという案件があったんです。林業って、あらゆる業種の中で死亡率がトップなんですよ。それで特に若手の採用が難しくて。そこで何かを変えなければという想いの四国の会社があって、ヒアリングしていく中でHPを作りましょうということになりました。ただ、HPを作るだけでは応募は来ないということはわかっていたので、広告を出しながらHPの管理を継続的に行っていく上で、本当に玉井さんにお願いしてよかったと言ってもらえたのが印象的でした。実際に2名の採用が決定しています。それは、私のやり方が良かったという事もあるかもしれませんが、相手の事業者さんの本気度がとても高かったんですよ。みなさん、変えなければと口では言うのですが、実のところは変化を嫌がる。でもその方は、従業員の幸せのためにどんどん変えていくという姿勢でした。私と相性が良かったんだと思います。
—事業者さんの本気度って大事ですね。
<玉井>特に採用においては、人を採ることと同時に定着することが大事です。逆に定着を先にやらないと、今の人たちが辞めていくんですよ。今いる人が「この会社で良かった」という環境を先に作ってから採用すればいいんです。また、悪い環境の会社へ私が支援を行って誰かが採用された場合、不幸な人を増やしてしまうことになるので、そこは気を付けています。
—前職の製造業の際に、採用ご担当だったとか?
<玉井>そうなんです。部長だったので、自分の部署のメンバーは自分で採用することになっていました。そこでエージェントやハローワークを使った経験が今に活きています。
—それでは、これから「にじいろ南信州」についてお伺いしていきます。にじいろ南信州が意図している事業者同士がマッチングすることによって生まれるシナジーに何を期待しますか?
<玉井>地元の資源が地元で活かされる、これはとても重要なことだと思います。「資源」をぜひ言語化してほしいところですが、資源=スキル、ノウハウ、人脈、お金、これらを持っている人たちが外へ外へ資源を使おうとしている、これが南信州をダメにすると思っていて、たとえば農産物を外へ売るのは良いのですが、売るためにどういうノウハウを誰から得るかは南信州内で集めてほしいと思います。マーケティング、セールス、web構築など、できるフリーランスさんなどたくさんいらっしゃるので、南信州内で循環するプラットフォームになったらとても強いですし、ものすごく意味があることです。
—にじいろ南信州を活用することで何が生まれるかと思いますか?
<玉井>どんなことを生み出すところまで運営側が設計してあげる必要があります。記事やイベントをアップして、それをあなたの事業に興味がある人に届けると言ってあげれば、それなら活用しようかなという流れになります。
—最後にご自身のPRはありますか?
<玉井>小規模な事業者さんの傾向として、集客に苦しんでいる方に言えるのですけれども、誰に何をとどけるかを考えているつもりになっているのです。でも実際はバラバラな施策を行ってしまっていて、こういう方がほとんどです。価値が伝わる構造を設計するというところをサポートしていければと思っています。皆さん良い成果物に拘ってしまうんですよ。良いデザインのものだったり。でも、良いデザインがあるのは良いメッセージがあるから、というのが一番です。この本質の話を南信州に向けたいと思っています。
—南信州への貴重なメッセージ、ありがとうございました。
とても自然体な玉井さん。穏やかな語り口調の中にはしっかりとした信念があると感じました。事業にお悩みがある方、ぜひ玉井さんのサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
ベイタス HP
南信州・飯田産業センター 伊藤
